- 第103回 : 2024年12月19日 (木) 16:30--17:30
(通常と曜日が異なりますのでご注意ください)
- 場所 : 愛媛大学理学部2号館(数学棟)2階 大演習室(201) (対面開催のみ。参加をご希望の方は直接現地にお越しください。)
- 講演者 : 松村 英樹(東京都立大学)
- 題目 : 矩形求積公式とDiophantus問題
- 概要 : 矩形求積公式とは、与えられた道上での定積分を与えられた点での関数値の重み付きの有限和で表す公式である。まず、Bessel多項式やChebyshev多項式という直交多項式の重み関数に関する矩形求積公式の場合に、Waringの問題におけるHausdorffの構成法を通したNarayana数(Catalan数の一般化)との関連付けが得られたので紹介する。この結果は神戸大学の澤正憲氏、Accentureの三島輝之氏との共同研究に基づく。
次に、Bessel多項式の重み関数に関する矩形求積公式からProuhet-Tarry-Escott(PTE)問題(Diophantus問題)の解の系列を構成できたので紹介する。また、楕円デザイン(球面デザインの一般化)と2次元PTE問題を関連付けた結果についても紹介したい。これらの結果は澤正憲氏との共同研究に基づく。
- 第102回 : 2024年10月4日 (金) 16:30--17:30
- 場所 : 愛媛大学理学部2号館(数学棟)2階 大演習室(201) (対面開催のみ。参加をご希望の方は直接現地にお越しください。)
- 講演者 : 佐垣 大輔 (筑波大学)
- 題目 : 量子グロタンディーク多項式に対するピエリ型の公式について
- 概要 : 対称群の各元に対して量子グロタンディーク多項式と呼ばれる多項式が定まる.これらは多項式環の基底をなすため,量子グロタンディーク多項式の積を,量子グロタンディーク多項式の線形結合で表したときの係数 (構造定数) を記述するという問題を考えることができる.
内藤聡氏との共同研究 (arXiv:2211.01578) で,Lenart-Maeno によって予想されていたピエリ型の公式を証明したので,それについて解説したい.
- 第101回 : 2024年9月20日 (金) 16:30--17:30
- 場所 : Zoomによるオンライン開催
- 講演者 : 飯寄 信保 (山口大学)
- 題目 : カルタン行列の一般化について
- 概要 : Gを有限群としπをGの位数を割り切る素数の集合とする。Gの通常指標環のZ[Irr(G)]に属する指標の定義域をGのπ-正則元全体G_π'に制限する写像をres_π'としたとき,B_π(G) = res_π'(Z[Irr(G)])とおくことにする。π={p}ならば,B_π(G)は標数pのブラウワー指標のなす環となる。今回,B_π(G)とZ[Irr(G)]の関係を示すものとし一般カルタン行列を紹介し,これについてのいくつかの結果および注意等を紹介する。
- 第100回 : 2024年5月17日 (金) 16:30--17:30
- 場所 : 愛媛大学理学部2号館(数学棟)2階 大演習室(201) (対面開催のみ。参加をご希望の方は直接現地にお越しください。)
- 講演者 : 若山 正人 (NTT基礎数学研究センタ)
- 題目 : 光-物質の相互作用と数論
- 概要 : 数論への興味の一つに,整数の単純さとその構成要素である素数の不規則・複雑に見える構造との乖離の探求があります.提示以来 165 年間未解決なリーマン予想がもつ魅力もここに原点があります.
一方,光と物質の相互作用にかんする関心は量子情報などにおいても要となっているものです.本講演のテーマは,相互作用の最も基本的なモデルとされる量子ラビ模型とその被覆模型である非可換調和振動子の背後にありそうな数論的構造についての考察です.とくに,ミクロな粒子が集まる際にマクロな性質を理解するための系の分配関数と,そしてスペクトルゼータ関数の特殊値などに焦点を当てつつ未解決問題にも寄り道しながら紹介することが目的です.
- 第99回 : 2024年4月22日 (月) 16:30--17:30
(通常と曜日が異なりますのでご注意ください)
- 場所 : Zoomによるオンライン開催
- 講演者 : 原瀬 晋(立命館大学)
- 題目 : 連分数に基づく準乱数とマルコフ連鎖モンテカルロ法への応用
- 概要 : ベイズ統計学の分野では,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いた期待値計算が頻繁に現れる.このとき,乱数によるモンテカルロ計算は収束が非常に遅いため,より高い一様性を有する準乱数に置き換えて高速化を図る準モンテカルロ法を適用したい.しかるに,通常の準乱数はMCMC法にそのまま適用することが出来ない.Owen-Tribble(2005)及びChen-Dick-Owen(2011)は,CUD列と呼ばれる点列を用いると,MCMC法による期待値計算に適用できることを理論的に示した.ここで,CUD列の定義は構成的でない.そのため,短い周期の擬似乱数発生法を用意し,一周期使い切った際に現れる格子構造を利用して,CUD列の近似点列として実装する方法が提案されている.
最近,発表者は,この実装方法の枠組みで,準モンテカルロ法の一様性の指標であるt-値が最適化された準乱数を作成した.その設計に際し,2次元のt-値は有限体上の有理関数の正則連分数展開と密接に関係があり,連分数を用いて準乱数のパラメータ探索を行った.
本講演では,この準乱数の概要,並びに,MCMC法への応用例を紹介する.