2023年度愛媛大学ジュニアドクター育成塾入学者選抜試験の概要
2023年度の愛媛大学ジュニアドクター育成塾入学者選抜試験には約270名の応募をいただきました。たくさんのご応募、どうもありがとうございました。
○選抜試験1
選抜試験1は発達段階を問わず科学に関する事物・現象に対する理解や因果関係を考える思考力などを測定することを目的に作問しました。各問いの概要は下記の通りです。
1⃣ では,動いている電車の中で小球が落ちる現象についてと川の流れに逆らって動く船の速さについて考える問題でした。経験から解答できると思いましたが,どちらも意外と間違いが多く見られました。日頃から目の前で起こる事象に興味をもってもらえるとよいと思います。
2⃣ では,計量と物質の3態(固体・液体・気体)による体積の変化について考える問題でした。表面張力によって端が盛り上がる現象があるのでメスシリンダーの読み取り方は確認してください。また,水はとても身近な物質ですが,その性質は他の物質とは異なっています。一度調べてみてください。
3⃣ では,入力と出力について考える問題と電気の使用量を考える問題でした。前者ではグラフが示していることを言葉で表現できるかどうかを問うものでした。日頃からグラフを説明する練習をしておくとよいと思います。後者はそれぞれの条件を一定の条件に合わせて比較することができるかが正当を導く鍵でした。何事も比較するときは条件が同じかどうかを考える癖をつけておきましょう。
4⃣ では,文学と科学的な現象をつなげて考えることができるかを問いました。季語は現在の暦で考えると少しずれていると感じることもありますが,確認してみてください。また,月齢についてもそのように見える原理を理解してください。科学者にも多くの文学作品を残した方がいます。これからは感性が重要になりますので,自然をうまく表現できる言語能力を鍛えるようにするとよいと思います。
○選抜試験2
選抜試験2は分類の仕方と魚の特徴と住む環境との関係を考える問題でした。分けるためには基準が必要です。その基準も2つや3つにただ分けるだけでなく,段階的な変化も考えられます。それをうまく図に表現するスキルと言語でそれを説明できるかどうかを問いました。魚の特徴については,体色,口の形,生殖様式,体型から特徴を選び,その魚の住む環境を絵で表現するというものでした。皆さん,多様な魚を想像していました。
最後に
今回、非常に多くのご応募をいただきましたが、残念ながら施設や機材の都合で多くの受験者のご希望に沿うことができませんでした。しかしながら、このような試験では受験者のすべての能力を知ることはできません。試験結果は、あくまでも1つの側面での評価の表れにしかすぎないのです。今回の結果で科学に対する興味を失う人が出るようなことがあれば我々にとっては不本意ですし、地域や日本にとっても大きな損失です。愛媛大学ジュニアドクター育成塾には「インターネット受講生」という、講座の様子を限定のWeb配信(録画)で見ることのできる制度もありますので、是非そのような制度も利用して探究する心を持ち続けてください。